ラストの流れで台無し・・・〜『鉄のラインバレル』全見後感想〜

鉄のラインバレル』の感想を。


原作未読。ヒーローのメタ構造まで切り込むロボットモノかなと思って視聴継続。


結論から言えば、ヒーローというもの存在意義やジレンマを説得力を持って描くということは放棄しているという印象を受けた。
終盤、敵役であった加藤機関と協力して別宇宙からの侵略者と共闘する展開には嘆息ものだった。いや、今までの敵と協力という展開自体は燃え展開で好物なのだが、この作品の着地点そこじゃないだろう。


というのは、この作品は前半から「正義の味方」というものがどういう存在かということに主題を置いている。
「正義の味方」に憧れていたが、何の力も持っていなかった主人公が、たまたま大きな力を手に入れるが、理想と現実に苦しむ姿が前半はなかなか丁寧に描かれていた。
この辺りの描写から、この作品が正義の味方を一歩踏み込んで描こうとしているのは明白である。


さて、正義の味方を描くだけなら、敵は単純な悪でいい。
しかし、正義の味方の存在まで描くなら、敵役はひねりが必要である。
悪なりの正当性というか、言ってしまえば、悪の正義を持っていなければいけない。(もっといえば、正義の敵は、また別の正義という有名なアレですよね)


加藤機関はその意味では、その悪の正義を持っていたと思う。
その加藤機関との戦いの中で、主人公も自分なりの正義(=戦う意味)を持つ。それは、自分は弱者の気持ちが分かる、だから守りたいという陳腐なものであるが、まあそれは陳腐ではあるが筋は通っているので問題ない。
そこまで、お膳立てしているのに、なんでラスト直前で、加藤機関と協力したのか。残念通り越して、もうズッコケもんでした。


正しい流れは、

加藤機関と互いの正義をかけて戦う

気持ちが乗っている戦闘シーンが描かれる

これぞロボットもの!ヒーローもの!熱い!

その中で正義とは何かをふと考えさせられる


こうだろうが!!



ホントがっかりでした。