少女革命ウテナ考察3〜黒薔薇編〜

『分かりました。あなたは世界を革命するしかないでしょう。
 あなたの進むべき道は用意してあります』

黒薔薇編の回想をつらつらと。

心の闇の吐露とか大好きな自分にとって黒薔薇編は神がかっている!


○黒薔薇編の概観
14〜24話が中盤黒薔薇編に当たる。
正直、個人的には黒薔薇編が一番好きなのだが、自分の周りの評判はあまりよくない。
その理由は派手さがないからだと。
なるほど、確かにその通りだ。メインに座るのが、脇役に当たる人たちだもんね。
でも、そういった脇役にスポットが当たることが、ある意味この作品の「革命」というモチーフを端的に表現しているのではないか。


まず、黒薔薇編は、生徒会編よりさらに、一定のスタイルの確立が顕著になる。
生徒会、アキオとウテナの談笑、面会室での内省、影絵、決闘などなど。
また、本格的に登場したアキオとアンシーの怪しい関係が仄めかされるなど内容は濃い。


とはいえ、やはり最大の特徴は、面会室のシークエンスだろう。
はっきり言って、脇役がその心の闇を、赤裸々にさらけ出すなんて展開を延々1クール続けるなんて、見たことないよ。
相当に新しいことに挑戦しているなと思うと共に、あの時代の雰囲気(ポストエヴァも含めて)を如実に表している。
外からの声に導かれて、自分の心に深く潜っていく(かつ、その行為が薄暗いイスひとつの部屋(エレベータ)で行われている)なんて対話は、どうしたって、エヴァのTV版ラストを連想させられる。
でも、いい。TV版ラスト肯定派なので。


○黒薔薇編での七実
・16話『幸せのカウベル』はかなりの快作。七実が牛になるというシュールな話。この脚本は凄いなあ。頭がいかれてる。いい意味で。
クリスチャンディオール→セバスチャンディオール→コウシチャンディオールのセンスとかヤバい。
・あまりに意味のないこの話に、あえて教訓を見出そうとするならば、あの時代の女子高生のブランド指向、及びそれを実現するための援助交際への警鐘なんてのは考えすぎか。
・24話『七実様秘密日記』は総集編だが。黒薔薇編ではなく、七実エピソードの総集編になっている。どんだけだよ。

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