少女革命ウテナ考察2〜生徒会編〜

『卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく
我らは雛鳥、卵は世界だ
世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく
世界の殻を破壊せよ、世界を革命するために』

シビレル。作品の世界観を端的かつカッコよく謳った名文句だと思う。
これをバックに生徒会各人のシルエットが、エレベータの上昇と共に増えていく画は、この作品のシャープさをよく描いている。


○生徒会編の概観
1〜13話までが、いわゆる序章、生徒会編に当たる(13話は総集編)

生徒会編は、わずか13話の中で、ウテナの世界観を確立させ、その後に続かせている。

監督の言を借りると
「ある一定のスタイルを繰り返し見せていかないと印象に残らないと同時に、そういうやり方だと飽きられてしまうという矛盾があった。ずっとそのせめぎあいだった。」

絶対運命黙示録なんて1回聞けば絶対に忘れられないけどw確かに、ともすれば実験的なことをやり過ぎているこの作品において、「これはこういう作品か」とかなり早い段階から視聴者に分からせることに成功している。その上で、飽きさせない仕掛けや、ストーリーの謎を適度に散りばめている。見事と言わざるを得ない。

見返して気付いたことだが、世界の果て・薔薇の花嫁・薔薇の刻印・幻の城など、作品の世界観を象徴する言葉を並べ、決闘することの意味を第2話の段階で、冬芽がさらりと語っている。この当たりの作りが視聴者に対して丁寧であり、好感を持つ。(最近は、物語のアウトラインさえ1カ月以上説明しない作品があったりする。やりたいことは分かるが、不親切。興味の引き方が下手だと思う。)


13話中で、決闘を行うのは、実は7回。もっと多いと思っていた。
約半分は日常パート及びギャグ回だ。
つまり、少ない話数で、この作品のスタイル(生徒会の会話・影絵所少女・決闘)を視聴者に植えつけさせている。
決闘以外の回も、コミカルな演出で世界観に奥行きを加えている。


七実というキャラクター
で、そのコミカルさを一人でまかなっているのが七実である。
正直、初見の時はストーリーや演出に目が行ってしまい、あまり印象に残らなかったが、七実は見れば見るほどに好きになるキャラですね。
ポジション的には、主人公達に意地悪をするベタな配役なのだけど、愛すべき敵役に昇華されている。

七実のクローズアップ回は、全編通じて9回ほどあり(生徒会編では3回)全て比賀昇氏が脚本を担当している。やっぱ愛情や愛着があったんだろなと推測してます。

ちなみに、10話での前髪を下ろした七実は必見だと思うんだ。
おでこちゃんもかわいいけどね。


○その他
・影絵少女の5話は、海賊がモチーフ。テーマは、本当に欲しいモノ。
「かしらかしらご存知かしら〜」が「かしらかしらでもかしら(頭)」になxちている。語呂がよくてツボったw
・有名な林檎→兎のわずか2カットで革命を表現のコンテは、錦織博氏が担当。
監督の指示ではないとのこと。これが作品の方向性のひとつの指針になった模様。
・11・12話でのアンシーの感情の動きは、後半への大きな伏線。
・13話のラスト、黒薔薇編の胎動を見せる数カットは個人的に鳥肌もの



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