『劇場版 Fate / stay night - UNLIMITED BLADE WORKS』鑑賞記

『劇場版 Fate / stay night - UNLIMITED BLADE WORKS』の感想を。
前日に、「原作プレイして復習しておくか1〜2時間くらいでー」と久しぶりにプレイしてみたけど、ごめんなさい。ほぼスキップでちょこちょこ見るだけでも3時間は軽くかかりました。イベントの流れは完璧に頭に叩き込んで出陣。なんか学生時代の一夜漬けみたいだな。


期待値はそれほど高くなかったんだけど、「UNLIMITED BLADE WORKS」がとにかく扱ってるテーマ的にも大好きなので割りと楽しみにしていた。
映画として、どの層に向けるかがまず大事な点。つまり、一見さんにも分かるような説明から入るのであれば、15〜30時間くらいある膨大な原作を全く消化出来ないのは目に見えてる。となると、イベント(主に戦闘)だけを繋いでいくダイジェスト版的に作るか、一番嬉しいのは士郎とアーチャーを軸に再構成する仕様かな。とか想像しつつ、どう料理するのかというとこが最大の見所。


で、第一印象は「ずっと戦ってるな、コレ」って映画だった。とにかく次から次に戦うこと戦うこと。まあ、一見さんでは、キャラや設定はおろか、シーンとシーンの繋ぎさえ理解し難いだろうダイジェスト構造だった。一回退けたキャスターが、家で藤ねえ襲ってた時はクラっとした。いくらなんでも脳内補完を要求し過ぎ。


さらにいえば、士郎の戦う意味の掘り下げや、凛のキャラの描き方が甘く、、繰り返される戦闘に、いくら最後の一人まで戦わないといけないバトル・ロイヤルものだとしても、気持ちが乗り切れない。そもそも『Fate 』の戦闘は、機転を利かして勝つみたいな分かりやすい代物ではなく、細かな設定とそれを意義付ける文章あってのものだから、士郎があんなに簡単に練成してるとこみると違和感を覚えてならない。葛藤の描き方が薄すぎる。


あと、これだけはいいたいのは、いくら説明しないといけないことが多すぎるからといっても、「サーヴァントにとって真名を知られることが致命的に成り得る」という設定だけは、きちんと描いておかないと、アーチャーの正体というこのストーリーの求心力に導かれないのは、構造的に欠陥あると言わざるを得ない。そりゃあ、ファンが見にきてるんだから、みんな知ってはいるだろうけど、単体の作品で見たときに「ああ、アーチャー、そういうことか」ってならないのは痛恨だろう。


正直ダメダメだったけど、そんな中でもいいとこを探すなら、やっぱ「間違ってない」とアーチャーに挑む士郎の姿かな。
個人的には、士郎のモノローグで説明しまくり&戦闘も回想的説明で時間を省略しつつ、とにかく士郎の正義の味方としての葛藤と、アーチャーとの因縁を描くってのを大胆にやって欲しかった。好き嫌いが分かれそうだけど、それならDVD買った。