踊る大捜査線3が踊れない理由

踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』を見て参りましたけどね、先に言っておくと、愛すべきところのないクソ映画でした。
これから見に行く人は、一人で行ってはダメ絶対!
行き場のない怒りを共有できる人と行きましょう。


期待半分、不安半分だったんだけどね、見る前は。
期待は、ドラマ版の頃は普通にファンだったこと。
不安は、劇場版2まではまだ見れたんだけど(ただ、劇2は色々首捻るとこもあったけども)、その後のスピンオフは最悪だった。


さらに言えば、最近のROBOTが作る映画はことごとく最悪。完全に視聴者を馬鹿にしてる。その最たるは『少林少女』なんだけど。


では、映画のどこがダメだったかひとつひとつ挙げていきます。
ネタバレもするよ!
これから見る人は読まないでね!




ひとつめ。視聴者をなめてること。
多分、ドラマの頃はまだROBOTも知名度なくて志を持って作ってたと思うんです。で、アンテナ張ってる人が、その面白さに気付いて、ブームになっていってという流れだったはずなんですよ。
でも、ヒットすればヒットするほど、視聴者の裾野は広がっていく。
そうすると、万人に分かり易いように、分かり易いようにという極めてテレビ的な作り方になっていってしまう。
そうなると、視聴者を馬鹿にしてくるわけです。「これくらいでいいだろ」と。


それが、実際に作品に反映するとどうなるかというと、「〜げ」なもので表現が止まるんすね。
例えば、悲しい音楽と真剣な表情で「悲しげ」なシーンを描く、盛り上がるBGMとストップモーションで「感動げ」なクライマックスを描く。そうすれば、お客様は泣くんでしょw感動するんでしょwってことです。
これが、ROBOTに限らず、最近のTV局主導映画に頻繁に見られる手法ですけども、本当に視聴者を馬鹿にしてる。



今回もありました。中盤のクライマックスっぽいとこです。
青島、外から杭で扉の破壊を目論む、すみれマイク越に語りかけるのとこ。
もうホント感動させようという魂胆がミエミエで・・・


恥ずかしいわ!!


そこで感動させようとすんなら、そこまでのストーリーが重要だろうが。ストーリーを語ることをせず、「げ」なものを繋ぎ合わせても、何にも伝わってこねえよ。クライマックスまで。シナリオ上の「タメ」が蓄積され、フラストレーションが積もりにつもって、バッと弾けるから感動すんだろうが!
ホントこの「げ問題」は根が深いよ!



ふたつめ。葛藤がないこと。
これは、このシリーズの最大の魅力になってると僕は思ってたんですけど、本庁と所轄の軋轢が描かれていないことですね。


ま、今回も一応軋轢は存在してんすけど、小栗旬が演じる「調整役」ってののせいで、凄い薄まってる。なんでこの役出したかね。


真矢みきを出せ!真矢みきを!


今思うと、2での真矢みきの鬱陶しさは、最高だった。「所轄の仕事なんて、どうだっていいでしょー!」の台詞今でも覚えてますもん。
ラストまでフラストレーションが溜まるに溜まらされた状態で、上と下が手を結ぶから、カタルシスが生まれるわけでしょう。
そこが、踊るが面白いと感じさせられた最大の「装置」じゃないですか。それが、今回は全然ない。室井さんチョイ役だもん。もっと室井追い詰めなきゃダメでしょー。ギバちゃん今回全然眉間にしわ寄ってないよー。




みっつめ。シナリオが有機的に絡んでない。
これは、多岐に渡ることなんだけど。まずは上述した本店VS支店が弱いってこと。これが致命的。
じゃあその軋轢の代わりになる、主人公である青島を追い詰めていく物語の「タメ」が必要なわけだけど、それが「病気」って(しかも、実際はただの医師のミス、H2か!)さらに言えば、結構すぐミスと観客にも分かる作りになってるので、物語の盛り上げ装置として全く機能してない。
期待してたのは、落ちるだけ落ちたとこで、和久さんのノートで復活という流れ。これやられたら、ベタだけど絶対泣いたと思うんだけど、ノートの存在軽過ぎ。
あと、まあ捜査が杜撰というか、ほぼ捜査してないってのも大きなマイナス。結局、物語の流れに沿って、ご都合主義的に次の展開に進むんだよね。ヒントみつける→すぐ、犯人の特定が出来るみたいな。刑事ものとして面白くない。



よっつめ。青島フィーチャー過ぎる。
これは、制作の裏側が透けるというか、織田裕二が好き勝手やってんだろうなと見るからに分かる。
やってることがメチャクチャだよ。屋上から突入とか、例の杭とか。
特に、どう考えても頭可笑しくなったとしか思えない「杭」は織田の提案らしいです。周りも、止めろよ!「織田さん、杭はないっス!」って言えよ。
で、この織田フィーチャーの皺寄せは、他の出演者に来るわけだ。
今回、脇が全然おいしくないよね。
ギバちゃんにいたっては、完全にチョイ役だし、すみれさんも閉じ込められてるだけ。
期待してた和久さんの甥役伊藤敦史も、思ったほど活躍しないし。



大別すると、こんな感じかな。まあ怒りの種を挙げると切りがないんで今日はこのへんで。



とにかく、これ作ってる最中に誰か舵取りをし直す人いなかったのかね。
「これじゃあ。踊れないっスよ」って。