『イヴの時間』鑑賞記

ちょっと日が空いてしまったけど、『イヴの時間』劇場版見てきました。


WEB配信で好評を博した『イヴの時間』1stシーズンの総集編で、元々約15分間の物語6本を新作カット追加で再構成した作品です。
WEB配信の方は未見だったのですが、『イヴの時間』良かったです。


作品の根底を流れるテーマは、『ロボット(アンドロイド)を愛してはいけないのか』というもので、この流れに沿ってさまざまな境遇にあるキャラクター達を描いています。
このテーマ自体は、個人的にはかなり深淵なものだと思ってます。押井守監督の『イノセンス』もこの問題を扱ってましたね。


話の間口を少し広げると、人間以外のモノへの愛とか愛着ってどうなの?と考えることが出来ます。卑近な例を挙げると「〜は俺の嫁」という言葉。基本的には冗談めかしに使われてるけど、結構いろいろ考えさせられます。
勿論この言葉を全肯定するつもりはないんですが、長い時間で見た場合、将来的には本当に人間以外を愛してはいけないのか、それは何故かという疑問にぶつかるとたまに考えるんです。
恥ずかしいことを言うようなのですが、何かを愛するってこと自体は間違った行為ではないと思っています。それが一方通行の愛だとしても。
そして、現代のような複雑化した社会で、孤独という壁にぶち当たった時、人間以外を愛することがその人の救済に繋がるなら、それはそれで他人がとやかく言えることでなないんのではないかと。
それは、二次元とか、人形とかだけでなく、一方通行という意味では、アイドルとかペットにも繋がるんじゃないかと。


自分がたまに考えるこの疑問に対して、考慮の一助となるという意味でも、大変楽しく鑑賞出来ました。


もうひとついえば、舞台となる喫茶店イヴの時間が雰囲気的にも、とてもいい。ジャームッシュの『コヒー・アンドシガレット』とか、漫画なら豊田徹也『珈琲時間』など、喫茶店や珈琲って、人を惹きつけるなにかがありますよね。


物語自体は、まだ多くの謎を残しており、次作がとても楽しみです。