『涼宮ハルヒの消失』鑑賞記

今日は寒かったっすねー、でも『涼宮ハルヒの消失』見て参りました。
早めに新宿に行ってサ店で、2時間くらい原作を読み返して復習というか予習をする。


『なぜなら俺は、SOS団の団員その一だから』


で涙腺がゆるんでしまい、こりゃ映画で泣くなーと思った。


ちなみに自分は、そこまで熱の入ったハルヒファンではないけど、原作・アニメは全部嗜んでて、消失は本当によく出来た素晴らしい作品だなと初日に見に行こうと思うくらいのスタンスです。



さて、本編。
まず長尺なので、一見さんにも分かるような親切設計にしてるのかなと思いきや、そこは読み違い。この作品だけでも分からなくはないが、今までのシリーズを追ってないと、楽しみ半減かなという構成。特に、『笹の葉ラプソディ』は予習必須だと思いました。
で、大体原作50ページに対して30分の目安で進んでますね。このへんはちょっと注意して見てましたんで、間違いないかと思います。


先に総評を述べておくと、隙がない。完璧。原作の映像化としては、100点つけて然るべきだと思いました。
小説の映像化と幅を広げて見た場合でも、これだけ丁寧に、かつ映像としての側面もプラスした上で、ここまで見事な作品は少ないんじゃないでしょうか。


個人的に注目したいのは、キョンの表情ですね。喜怒哀楽が事細かに描かれている。一人だけ異世界にいる不安と焦燥感の中で、千面万化を見せるキョンの表情は、映像として見た場合の大きな楽しみでした。
そうか、ここではこういう表情をするのかー、と。
基本的には、冷静な主人公であるキョンの絶望や焦燥、悲哀を見るだけでも物凄い楽しめました。


映像面で補足しておくと、全編通じた緊張状態、孤独感と、暖かみのない灰色の冬の風景がマッチした鋭い背景美術も見所でした。
作画は驚異的な質感でした。印象的なのは、キョン長門が揃って下校する時の対向車のヘッドライトに照らされた髪の光り方。細かいとこまで凄過ぎ。


音楽の使い方はオーソドックスながら的を射ていたし、コンテも画面の余白を効果的に利用して合ってたと思います。



キャラクター的には、長門より世話焼き朝倉さんに好感を抱いた異端です。
桑谷さんの演技、艶っぽいな。イイ!



あと、シナリオは原作に忠実なので文句なく素晴らしい。
キョンの「選択」の物語を軸に、長門の変化、団員の結束を描き、笹の葉や憂鬱自体を伏線とした構成、250ページの本編に全く無駄がない。


ただ、一点。全編に渡り緊張感がありテンションは物凄く高いけども、クライマックスに派手な動きがないので映像として見た場合、盛り上がりに欠けるところはあるなとは正直思いました。



最後に泣けたかどうか。
それが、自分は泣けませんでした。


最も泣き所と思ってた『なぜなら俺は、SOS団の団員その一だから』は割とさらっと描かれてたので、感情高まる前に、七夕に行ってしまった。


もうひとつは、ラスト付近、キョンが自分の内面との対峙をするとこなんですが、ここは個人的な好みによるんだけど、もう一人の自分が語りかけてくる、大事な言葉が文字起しになる等の好みでない演出のため、泣き逃す事態に。
しおりと入部届けが選択肢の象徴になるところ、改札をしおりで通過し長門が裾を引き止めてるところとかは凄いよかったのにー。
何故もうひとりのキョン出てきたがし。
泣きたかったなあ。


ま、でもそれは個人の嗜好によるとこなんでね。
自分は、長門関係では感情の揺れはないんだけど、そっちの方が泣き所の人も多いのかな。


てな感じでね。泣けなかったんで、若干消化不良はあるものの、間違いなく素晴らしい作品でした。
特に、原作未読の場合、画はキレイ、演出もいい、ストーリー展開も予測できないとしたら、相当な映画体験だったんjぃやないかしらん。


そんなことを思うと、ストーリーを知っていた上で、肝心なとこで泣けなかった=心が動かなかった、言い換えると自分にとっては心動く演出じゃなかったということは、やっぱりひっかかりが残ってしまう作品だったのだろう。



最後に、エンドレスエイトはそんなに伏線というか助走になってなかった!