『グッド、バッド、ウィアード』鑑賞記

ひさびさに、映画の感想でも〜。
韓国映画『グッド、バッド、ウィアード』です。
邦訳すると、「いい奴、悪い奴、変な奴」


時は1930年代。日本軍が隠した財宝の地図を巡る三つ巴の韓国版西部劇で、表題の「いい奴、悪い奴、変な奴」をそれぞれ、チョン・ウソンイ・ビョンホンソン・ガンホといった韓国映画界のスターが演じ競演するというファンなら涎ものの作品です。
ちなみに、私、一時期、韓国映画にハマって貪り見てた時期がありまして。
そういう意味では、韓国映画ファンなので、この作品とても楽しみでした。


監督は、キム・ジウン監督。
まー、韓国映画を監督で選んで見る方はそんなに多くはないと思いますが、この監督は玉石混交の韓国映画界において、なかなか手堅い仕事をするというか、少なくともTVの延長戦で映画を撮るような監督ではなく、映画を知ってる方だなと自分は認識してます。


ただ、過去作のジャンルが見事にバラバラで、以下ディスコグラフィー
クワイエットルーム→ブラックコメディ
反則王→コメデイ
箪笥→ホラー
甘い人生→フィルムノワール
どれも一定レベル以上で面白いし(逆に言えば傑作ってのは無いかも)画作りも非常にセンスを感じることもしばしばなんですけど、何がしたいのかとか分からなくもあるという。まだ自分の中で、この監督に対する評価(おこがましいですけどね)を下せない感じだったんですよ。だから、今回で見極めようと。


しかしね・・・
今回見てさらに評価がぐっしゃんぐっしゃんになりました。
まず、映画はね、面白かったです、単純に。面白かった。
しかし、手放しに褒めれるかというと、そうじゃないとこも多々ある。
いいとこと悪いとこが両立してんですね。
いいとこは、ホントにスゲぇ!って感じで良くて、ダメなとこは、ホントにがっかりなんです。
極めて簡単に言えば、B級映画としてみるなら非常に評価は高く、普通に見ると評価は少し下がるって感じかな・・・ホント平たく言えばだけど。


良かった点、まずは冒頭の列車強盗のシークエンスですね。スピード感を保ちながら、キャラの紹介、キーアイテムの説明、ストーリーの伏線を散りばめ、アクションもど派手に展開するという、掴みとしては満点くらいのいいシーンでした。そして、何より三つ巴ってのは、燃えますね。
正義VS悪っていう一元構造でないとこにワクワクが募ります。
その後も、アクションは総じてかなり満足でした。途中、ややカット割りすぎて、配置とかよく分からなくなったりしたとこもあるものの、瑣末な問題で。三つ巴どころか、何勢力にも分かれてのクライマックスのチェイスは凄かった。
何より、馬上で背筋をしゃんと伸ばして、日本軍を片手で撃ち抜いていく、いい奴チョン・ウソンのカッコ良さはパなかった。


そして、そのチョン・ウソンは軽く食う名優ソン・ガンホの存在感。全く凄い。ソン・ガンホの映画に外れなし。あんま韓国映画見てない友人にオススメするなら「ソン・ガンホの出てるやつなら間違いないよ」という紹介はあながちまちがいではないはず。いや、南極日誌とかも、あれはあれで面白いし。イ・ビョンホンはキャラ作り過ぎ感あったけど、いやいやどうしてやっぱ良かったです。演技はいいんです!


で、悪かった点、これは脚本ですね。ご都合主義的なところ、説明不足なとこはこの際、目を瞑りましょう。しかし、決定的に弱いのが、三人の因縁をしっかり描いていないところ。
多少ネタバレになりますが、ラストは西部劇ですから決闘ですよ、主役3人の。それは、誰しも分かるはず。
それなら、そこまでに、この三人が互いの命をかけないといけない理由や背景の説明は絶対必要でしょう。そこが、不十分なんだよ!!
いい奴チョン・ウソンが指切魔を追う理由、指切魔が生まれた理由、そこをしっかり描かないと最後のカタルシスが半減だい。そこが無念だよなあ。


しかし、欠点はあるものの、見所も多いので、これはなかなかオススメですよ。ただ。監督の評価は次回作に持ち越しです