『しんぼる』鑑賞記

もひとつ。松本人志監督『しんぼる』も見てきました。


白い部屋に閉じ込められた主人公の脱出劇と、それとは無関係に展開するメキシコのレスラーの話の二軸構成。
白い部屋は何度かクスリとはさせられたが、爆笑まではいかず。また、主人公の性格や背景の説明はなく、あくまで松ちゃんとしか思えないので、映画的に感情移入も出来ない。また、脱出劇特有のハラハラ感・スピード感もなく、白い部屋での出来事は、いつか脱出できることが分かることをグダグダ見せる『遊び』にしか思えない。
となると、必然、白い部屋とレスラーが交わる時に興味が収束するが、そこは肩透かし。
込められたテーマ性も、確かに如何様にも解釈できる広い間口は残してるようにみせて、その実投げっぱなしの逃げに思えてならなかった。
なぜなら、前半戦の白い部屋があくまで遊びだったから。この作品に込められた熱い思いをなんとか解釈してやろうという気にならない。そもそも、それがあるのかも分からないけど。
なんか、ただ『眺める』だけの映画だった。この企画自体に空気を読まないといけない感が漂っており、そえは、昨今のすべらない話に通じるものであり、そんな空気なら読みたくないなあと思う