『スラムドッグ$ミリオネア』鑑賞記

昨日公開になった『スラムドッグ$ミリオネア』を早くも見てきました。



昨夜飲み会があったんですが、諸事情で遅れて行かざるを得なかったんです。で、ほとんどお開き直前に入ったにもかかわらず、幹事から通常の会費(しかも、かなりの高額)を請求されたので、まあ、遅れた自分が悪いと思いつつ、物申してみたら、現物キャッシュバックとして、映画の前売り券をもらった次第です。何でだ!
そして、2次会を終えて、酒の勢いのまま、オールでやってる映画館に友人らと向かったという流れなんですがね。



それでは、軽く『スラムドッグ$ミリオネア』を紹介。
本作は、本年度のアカデミー賞を作品賞・監督賞等複数受賞した作品である。監督は『トレイン・スポッティング』等のダニー・ボイル
舞台はインド。主人公のジャマールは、学もないスラム育ちの青年だが、人気テレビ番組「クイズ$ミリオネア」(日本でもみのもんたでお馴染のファイナルアンサーのアレ)に出場。連続正解し、見事に大金を得る。しかし、教育を受けていない人間が何故正解を重ねられたのか、不正を働いたのではないかという容疑で警察に逮捕される。警察の尋問の中で、彼は自分の生い立ちと、大切な人のことを語っていく。そこには、激変するインドの中で、自分達だけの力で生きてきた子供達の姿があった。
果たして、彼は何故賞金1000万ルピーを手に入れることが出来たのか?



おおまかなストーリーは以上。


率直な感想としては、普通に面白い。
2時間の上映時間、割とあっという間だった。
アカデミー作品賞を取ってることから、現代のインドの繁栄と病巣を切り取った割と重めの話かなと思ってたが、とんでもない!!ただの娯楽作品だった。


ダニーボイル自身が『トレイン・スポッティング』の頃に戻ったような軽快な作風を取り戻している。映像はテンポよく、流れるように進む。
シナリオ的には、上記「果たして、彼は何故賞金1000万ルピーを手に入れることが出来たのか?」という問いへのミステリー仕立てにしつつ、主人公と警官の問答、その時に証拠品として鑑賞する番組出演時の映像、主人公の生い立ちの回想が入り乱れて展開。


全編通じて退屈はしないし、特にクライマックスへの盛り上げ方は特筆するものがあり、音楽の使い方も効果的で、かなりのグルーヴ感を演出しており、オススメ。
重厚なストーリーを求めていくと肩透かしだが、エンタメとして見れば、十分満足できる作品でしょう。




以下は盛大にネタバレ含みますのでご注意を。


エンターテイメントとして軽く見るにはいいのだが、やっぱり腑に落ちない点もちらほら。
まず、このサクセスストーリーをどう捉えるか。
確かに、主人公はラスト大金を手に入れ、恋人と再会しハッピーになった。
しかし、それで本当に幸せと言えるのか?という疑問は拭い去れない。
というか、この作品そこまで描いていない。
物語的な綻びは、全部兄がかぶって死んでいくことで丸くおさめているように思える。
最後に提示される「運命だった」という解答も、「うん、そうだね、運命だね!」としか言えず、なんというか、、、浅い。


私は、現代のインドの社会情勢に関して、多くの知識を持っているわけではないが、作品中で描かれているのは、ダイジェスト過ぎる印象も受けた。
だが、インドのスラム社会の中で子供達が生き抜いていくことがいかに過酷であるかといことは、伝わってきた。
ただなあ、登場人物に共感しにくいところも、やや難あり。
もう少し突っ込んだストーリーをやっぱり期待してたのかも。

結局、


『スラムからの脱出への、メソッドがミリオネアで、それを達成出来たのが、運命だからって、それは、どうだろう。』


でファイナルアンサー?